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2008.08.26スヌーピーからのメッセージ

夏休みに金沢21世紀美術館に行ってきた。
オープン当初、マスコミに「レアンドロのプール」が取り上げられ話題となったので
機会があれば一度行きたいと思っていたのが、今回、実現した。
 
「レアンドロのプール」とは、トリックガラスを使ったプールで、
地上からは水があるように見えるが、中は空洞になっている。
そして、大谷芳照氏が訳した「スヌーピーの世界展」(アート展)も行われていた。
 
スヌーピーと言えば、漫画「ピーナッツ」に出てくるキャラクター。
スヌーピーとともにチャーリー・ブラウンやルーシーたちが活躍する漫画「ピーナッツ」。
これは、単なる漫画ではなく、人間について、世の中について、生き方についての
深い洞察と警告 そして何よりも人間存在に対する優しさと思いやりに満ちた
文学作品であると「スヌーピーたちのアメリカ」の著者 廣淵升彦氏は言っている。
 
人間の生き方や心の問題を扱った、大人の読み物「ピーナッツ」。
大谷芳照氏による「スヌーピーの世界展」でもそのメッセージは余すところなく
伝わってくる。
 
ちと、一例をご紹介。「安心」について。
実に、人間の心の機微を心温まる描写をしている10コマのお話。(以下、一部引用)
 
ペパーミント・パティがチャーリー・ブラウンに次のような悩みを打ち明ける場面。
「近ごろ私、何にでもくよくよしているみたいなの!」
「どういうふうにさ?」
「安心って何だと思う、チャック。」
「安心ねえ?」
 
チャーリー・ブラウンは、続ける。
「安心ってのは車の後ろの座席で眠ることさ!君は小さな子供で、
お母さんやお父さんといっしょにどこかへ遠出したとする。あたりはもう夜だ。
君たちは車でうちへ帰るところさ、その時君は後ろの座席で眠れる。
君は何にも心配なくていい。お母さんとお父さんは前の座席にいる。
そして心配ごとは全部引き受けてくれる。何もかも面倒をみてくれる。」
 
これを聞いたペパーミント・パティは、「本当にすてきね!」と言うが、
チャーリー・ブラウンは、ペパーミントに次のようにビシャリと警告する。
 
「でもこれはいつまでも続かないよ! 突然君は大人になる。
そしてもう二度とこういう具合にはいかなくなるのさ。突然それは終わりになる。
君は二度と後ろの座席で眠れなくなる。もう決して眠れないのさ!」
 
これを聞いて急に不安にかられたペパーミント・パティは、チャーリー・ブラウンに
「私の手をしっかりにぎって、チェック!」というオチがついている作品である。
 
究極の安心。忘れている子供の頃の思い。
誰もが無邪気に、本能のままに、生きていた懐かしい子供時代。
しがらみや役割ではなく。
 
誰もがいつまでも親に守られていた子供の状態ではいられない。
誰もがいつまでも会社や上司に守られていた状態ではいられない。
 
いつかは、自立が必要である。
それは、突然にやってくるかもしれない。
 
ある意味、大人へと成長するわけだが、素直なココロと少年・乙女ココロを
もち続けたい。
大人となった今では、無意識のうちに封印されているかもしれない思いや
感情、感覚、体験。
思いっきり遊ぶ時は、遊ぶ。
欲しいものは、欲しいと言える。
愛してると伝える。
いつもありがとうと言える。
寂しいときに、一緒にいてほしいと言えるなど。
 
We are not human doings.
We are human beings.
 
これからどのように、生きたいのか?
答えはさまざまかもしれないが、一つ言えることは、間違いなく、
「誰しも幸せでありたい」、
そして「周りの人にも幸せであってほしい」という思い、願いがある。
 
でも、人生は、時には、ほろ苦く、厳しいと感じるときもあるさ。
そんなときは、上を向いて笑おうぜ! 一日三笑のすすめ。
それも人生の味わい、深みかもしれない。そんな風に思える日は来るさ。
 
「今は、未来の結果である」と言った人がいる。
言い換えれば、「今」の自分や言動を変えれば、「未来」は変えられる。
 
「スヌーピーの世界展」では、ポスターを購入して、
幸運にも会場にいた大谷氏にサインをしてもらった。
 
ポスターのメッセージがいい。
「愛する心は、ぼくより深い」
「笑う門には福来る」
 
「ピーナッツ」には、愛がいっぱい。
人間存在に対する優しさと思いやりに満ちている。
あなたのスヌーピーは、そこにいる。そばにいるよ。